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アメリカンフットボールとは、フットボールの一種であり、楕円形のボールを用いて、2つのチームで得点を競い合うスポーツ(球技)である。 ゲームの目的は、ボールを相手陣内のエンドゾーンに向けて前進させ、得点することである。ボールを前進させるには、主にボールを持って走る方法(ランプレー)と、味方にパスを投げる方法(パスプレー)がある。得点を得るには、主にボールを持ってゴールラインを通過する、エンドゾーン内でパスを捕球するほか、キックしたボールをゴールポスト上に通過させるなどの方法がある。試合終了時に得点の多いチームの勝ちとなる。 アメリカおよびカナダで単にfootballというときは、アメリカンフットボールのことを指す場合がほとんどである。他の国では、American footballという呼び方のほか、オーストラリアでは主にgridiron football(「gridiron」とは焼き網という意。フィールドのラインがそのように見えることから)とも呼ばれている。日本では、一般的にアメフトまたはアメフットと略される。また以前はアメラグ(アメリカンラグビーの略)とも呼ばれた。日本語表記では、アメリカンフットボールを直訳した米式蹴球、または、鎧(よろい)を髣髴させる装備をしていることから鎧球(がいきゅう)と表記されることもあった。
他のスポーツとの類似点・相違点アメリカンフットボールは、楕円形のボールを使う、タックルにより相手の前進を止めるなど、ラグビーと共通するイメージを持ち、実際に混同される原因ともなっている。ルール上では、攻守交替制である点、前方へのパスが認められている点が、ラグビーとの最大の違いである。その他の主な特徴については、他のスポーツとの比較と併せて下記に示す。 なお、具体的なルールについては、試合とルールの項で詳述する。
人気プロリーグであるNFL(ナショナルフットボールリーグ)は、メジャーリーグベースボール(野球)やNBA(バスケットボール)などを凌ぎ、アメリカで最も人気のあるプロスポーツリーグである。 NFL王座決定戦であるスーパーボウルは全米歴代TV視聴率ベスト10の半数以上を占め、カレッジフットボールの全米王座決定戦も、メジャーリーグのワールドシリーズやNBAファイナルの視聴率を上回ることがほとんどである。 事実上、アメリカ合衆国で最も広範にわたる人気を持つスポーツであると言うことができ、いわゆるジョックの象徴たるスポーツでもある。 一方、日本では知名度は低く、ラグビーと混同している人も多いのが現状であるが、スーパーボウルをはじめとしたNFLの主要ゲームや、国内でも学生・社会人のチャンピオンシップ戦である甲子園ボウルやジャパンXボウル、日本一のチームを決定するライスボウルといったボウルゲームでは地上波やBS中継放送が行われている。またその他のNFL、NFLヨーロッパ、社会人のXリーグ、関西学生リーグ、高校選手権クリスマスボウルのCS中継、関西ローカルではあるが学生・社会人の主要ゲームの地上波TV中継もある。国内試合は伝統的に関西地区での人気が高く、80年代の京都大学ギャングスターズの全国制覇以後は、秋期の関西地区の主要ゲームには万単位の観客が集まっている。 また、NFL JAPANの協力もあり、週刊少年ジャンプでアメリカンフットボールを扱った漫画「アイシールド21」が連載され(扱った漫画はこれ以前から存在するがそれほど有名ではなかった)、テレビ東京系列でアニメ化もされた。この影響もあってか、小学生におけるタッチフットボールの経験者数は増加傾向にあり、徐々にではあるが、競技人口の裾野が広がりつつある。 歴史大学における発展アメリカに初めて英国のフットボールが紹介されたのは、1867年であるとされている。始めたのはプリンストン大学で、サッカールールのゲームであったが、プレーヤーの数は各チーム25人の計50人だった。続いてラトガーズ大学でも、やはりサッカータイプのフットボールを始めたのだが、プリンストン大学とはルールが異なっていた。 アメリカにおける最初のフットボールの大学対抗試合(インターカレッジ・フットボール)は、やはり25人ずつのプレーヤーによるサッカータイプのゲームで、プリンストン大学とラトガーズ大学の間で、1869年にニュージャージー州のニューブランズウィックで行われた。この時にルールの統一を図り、ボールを持って走ることと投げてパスすることが認められた。しかし、この時点ではまだボールは丸いサッカーボールであった。そして、コロンビア大学、プリンストン大学、ラトガーズ大学、およびエール大学から成るインターカレッジエイト・(サッカー)フットボール・アソシエーションが、ルールを標準化するために1873年に作られた。 一方、ハーバード大学はこのグループに参加することを拒否。他の相手を求めてカナダのモントリオールのマギル大学からの挑戦を受け、1874年5月14日、ラグビールールの試合を行った。ラグビーに限りなく近かったが、これが事実上、初めてのアメリカン・フットボールの試合だったと言えるのかもしれない。そしてその後も2校は、ラグビールールの下で、1874年から1875年にかけてシリーズ戦を行った。 ラグビータイプのゲームはまもなく他の学校にも流行りだし、そしてその後十年以内にアメリカンフットボール特有のゲーム形式は発展した。そして19世紀後半以来、アメリカンフットボールは大学のスポーツとして人気を博している。 ルールの整備アメリカンフットボールの発展前述の通り、現在の形式のアメリカンフットボールは、1874年に行われたハーバード大学とマギル大学の試合に由来する。当初はサッカーのルールで行われていたが、次第にラグビーのルールが学生達に支持されて行った。しかし、ボールの所有権の曖昧さなどから、アメリカ独自のフットボール開発の気運が高まった。ラグビー選手として活躍していたウォルター・キャンプ(en:Walter Camp)を中心に1880年にはラグビーでの「スクラム」から「スクリメージ」の変更がなされ、ボール所有権の明確化、1882年の「ダウン」制の導入がなされ、初期のアメリカンフットボールが形を成した。1885年9月3日に最初のプロフェッショナル・フットボールゲームがプレーされた。 1913年、アメリカ陸軍士官学校対ノートルダム大学戦において、ノートルダム大学のガズ・ドライズ(en:Gus Dorais)とヌート・ロックニー(en:Knute Rockne)がパスプレーを繰り出し、ランプレーと効果的に織り交ぜ、それまでほとんどランプレーだったアメリカンフットボールの戦術において革命を起こした。40ヤードのタッチダウンパスを皮切りに、ノートルダム大学が得た5TDはすべてパスプレーによるもので、35-13で圧勝した。パスプレー(1回のみ前方にパスができるルール)は、1906年から認可されていたが、それまでは限定的にしか使用されていなかった。この歴史的ゲームは陸軍士官学校を舞台とした映画「長い灰色の線」の中で、当時最強チームの陸軍士官学校が無名のノートルダム大学に、まさに見たこともない新戦術によって大敗して呆然とするというエピソードで取り上げられている。 1930年代になって、このスポーツでの負傷や事故の多さ(死亡例まであったという)から非難の声が高まり、ルールの転換、さもなくば廃止という事態に直面した。しかし、時のフランクリン・ルーズベルト大統領の「このアメリカ独自の男らしいスポーツを、消滅させてはならない」との決断により、負傷軽減のための防具の整備(プロテクター類。初期のものは薄手で軽いものだったが、時代とともに頑丈になって行った)や、さらなるルールの改定が行われた。 日本における発展日本では、岡部平太が1917年(大正6年)留学先のシカゴ大学でスタッグ教授よりバスケット・水泳・陸上競技と共にアメリカンフットボールを学んだ。実際に岡部は大学や近くのクラブチームでプレーを経験した(シカゴの地元新聞に顔写真付きの記事がある)。 岡部は1920年(大正9年)に帰国すると、陸上競技コーチに就任した第一高等学校 (旧制)の「陸上運動部」や、東京高等師範学校附属中学校(現・筑波大学附属中学校・高等学校)の学生らにアメリカンフットボールを教えた。3チームが結成され、練習試合も多く行われたらしいが、翌年に岡部が新設の水戸高等学校 (旧制)に赴任したことや、当時は国内にボール製造メーカーが無く、輸入も難しかったこともあり、本格的な継続活動には至らなかった。 また、岡部は1925年出版の自著「世界の運動界」の中で、日本で最初と思われるアメリカンフットボール解説を書いている。 1934年(昭和9年)になって、立教大学教授ポール・ラッシュらが中心となり、立教大学・明治大学・早稲田大学が参加した「東京学生アメリカンフットボール連盟」(現日本アメリカンフットボール協会、当事は東京学生米式蹴球競技連盟)を設立、同年11月29日には明治神宮外苑競技場にて、学生選抜軍と横浜外人チームによる、日本で最初の公式戦が行われた。公式にはこれが日本に紹介された嚆矢とされている。ライスボウルで最優秀選手に贈られる「ポール・ラッシュ杯」はラッシュにちなむ。 第二次世界大戦の影響で一時国内競技が中断された時期もあったが、戦後復活して現在に至る。日本はアメリカンフットボールの強豪国であり、1999年にイタリアで行われた第1回ワールドカップイタリア大会で優勝、2003年の第2回ドイツ大会でも優勝、2007年の第3回日本大会でも準優勝を飾っている。 これら日本での発展の記録は、 立教大学アメリカンフットボール部の選手であった服部慎吾が手記として残しており、日本アメリカンフットボール協会のサイトで公開されている。 試合とルールアメリカンフットボールの試合は、全ての年代において、NCAAが定める公式規則(NCAAルール)を基本として行われる。団体の年代や地域事情などを考慮して、ローカルルールが採用される場合もある。例えばNFLでは、プロの試合としての面白みを加えるための独自ルール(NFLルール)が採用されている。この節では、NCAAルールを基本として、NFLルールについても併記する。なお、反則については反則の項に詳述する。 なお、アメリカンフットボールでは長さの単位としてヤード、フィートが用いられる。1ヤード=0.9144メートル、3フィート=1ヤードである。 フィールドアメリカンフットボールのフィールドは、長辺120ヤード(約109.73メートル)のサイドラインと、短辺53ヤード1フィート(160フィート、約48.78メートル)のエンドラインで囲まれた長方形からなる。フィールドの内側の地域をインバウンズ、それ以外の地域をアウト・オブ・バウンズという。 エンドラインから10ヤード中央寄りに、エンドラインと平行してゴールラインが引かれる。サイドライン、エンドライン、ゴールラインで囲まれた、フィールド両端の領域をエンドゾーンという(図の斜線部分)。 フィールドは、50ヤードライン(他のスポーツとの類似から、しばしばハーフウェーラインと呼ばれるが、50ヤードラインあるいはミッドフィールドと呼ぶのが正しい)で二つの陣地(エンド)に区切られ、それぞれ自陣と敵陣(または○○チーム陣)に区別される。フィールド上のボールの位置は、「陣地+その陣のゴールまでの距離」(○○陣△ヤード;ball on △yards)と表される。 両方のエンドライン上には、高さ10フィート(3m)のクロスバーで連結された、幅18.5 フィート(5.6 m)のゴールポストが設置される。 両サイドライン際、両25ヤードラインの間に、選手の待機場所(チームエリア)が設置される。スタンドのあるフィールドの場合、メインスタンド側にホームチーム、バックスタンド側にビジターチームが待機する。 試合時間試合時間は60分である。これを前半、後半30分ずつに分け、さらに15分ずつの節(クォーター)に分けることで、合計4つの時間帯となる(quarter―4分の1)。第1・第2と第3・第4のクォーターの間では、陣地を交換するが、クォーター終了時の結果は持ち越す。しばしば計時が止められ、前後半の間に15分程度の休憩(ハーフタイム)を挟むため、実際の時間は3時間を超えることも珍しくない。 日本の場合、選手の体力保全や会場運営のスケジュール上の都合を考慮して、大学生・社会人(Xリーグ)のリーグ戦では、1クォーター12分であり、試合全体では48分となる。高校生の場合は1クォーター10分で行われる。ただし、甲子園ボウルやジャパンXボウル、ライスボウルといったボウルゲームでは1クォーター15分の計時で行なわれる。 終了時に同点の場合の扱いはリーグによって異なる。NFLでは、15分間の延長戦(オーバータイム)を行い、どちらかが得点した時点で、そのチームの勝利(サドンデス)となり、15分間でどちらも得点をあげなかった場合は引き分けとなる(実際に引き分けが発生するケースは、多くても数シーズンに1~2回である)。プレーオフなど、必ず勝敗を決める必要がある場合には、さらに延長戦を行うことが定められている。NCAAルールでは基本的に引き分けとなるが、必ず勝敗を決める必要がある場合には、「タイ・ブレイク・システム」という特殊なルールにより決定する。また、それぞれの団体で独自の勝敗規定を採用している場合もある。 チームの人数1チームの人数(1つのプレーにおいてフィールド上に存在する人数)は11人である。ただし、プレーとプレーの間であれば、一度に何人でも交替できる。一度プレーから外れた選手が再びプレーに参加することも可能である。このため、選手の専門化が著しく、オフェンスチーム、ディフェンスチーム、スペシャルチーム(キッキングチーム)の選手に分かれることが多い。ただし、場合によっては1人の選手が複数のポジションを兼ねることもある。NFLにおいては、フィールド上と控え選手を合わせて1チーム53人まで登録できる。 審判の人数審判の人数は、レフェリー(Referee)、アンパイア(Umpire)、ヘッド・ラインズマン(Head Linesman)、ライン・ジャッジ(Line Judge)、バック・ジャッジ(Back Judge)、フィールド・ジャッジ(Field Judge)、サイド・ジャッジ(Side Judge)の7名である。 ポジションによって呼び名と職務が変わるが、反則の指摘などの権限は平等に持っている。反則などの問題が起こると、審判団が集まり協議を行い、協議の結果、反則はなかったことになることも多い。協議の結果を告知する職務を持つチーフ格の審判(Referee)によって、両チームと場内に説明がされる。 コンタクト(タックルとブロック)アメリカンフットボールにおけるコンタクトとは、身体の接触を行うことである。アメリカンフットボールのコンタクトは非常に激しく、直ちに負傷につながるおそれがある。このため、安全確保を目的として、コンタクトには厳しい規制がある。 コンタクトはタックルとブロックに大別される。しばしば混同されるが、アメリカンフットボールにおけるタックルとは、ボールを保持する選手(ランナー)の前進を止めるために体やジャージをつかむことであり、ブロックとは、相手選手の体やジャージをつかむことなく、自らの体を使って相手の進路を妨害する(前に立ち塞がる)ことである。状況により、手を開いて相手を押すことはブロックとして認められる。 原則として、ボールを持っていない選手に対するタックルは認められない。ボールを持っていない選手の体やジャージをつかむと反則(ホールディング)となる(例外的に、守備の選手が、タックルのために他の選手を払いのける目的でつかむことは許されている)。 なお、蹴る・殴るなどのラフプレイ、暴力行為は当然禁止されている。 装具アメリカンフットボールの装具とは、防具とユニフォームに大別される。このうち防具は、選手の負傷軽減を目的として装着するものであり、様々な改良を積み重ねながら現在に至っている。全ての防具の重さを合計すると、約7kg~8kgになる。 装着が義務付けられた装具に不備があると反則となるので、全ての選手は正しく装具を装着しなければならない。装着が義務付けられた装具は以下のとおりである。
セレモニー(コイントス)セレモニーとは、試合の開始に先立って、両チームのキャプテンと審判がフィールド中央に集合して行う手続きである。両チームのキャプテン(2名以上4名以内)がフィールド中央に集合し、審判から試合上の諸注意を受けた後に、コイントスを行う。ボウルゲームなどでは、両チームの記念品(ペナントなど)交換が行われることもある。 コイントスとは、試合開始時に、ボールと陣地の所有権を決めるために行うものである。ビジター側のキャプテンが、審判が持つコインの裏表を選択し、審判が投げる(ボウルゲームなどでは、特別のゲストにコインを投げる役割を与えることもある)。結果が当たった(コイントスの勝者)チームには、キックオフ時の次のいずれかの選択権が与えられる。コイントスの敗者は、コイントスの勝者が選択しなかった選択権を行使する。
通常、コイントスの勝者は、先に攻撃権を得るためレシーブを選択する(この結果、相手は陣地を選択する)。ただし、風が強い時などは、前半の選択権を相手に譲って(この場合、相手は通常レシーブを選択する)、陣地の選択を優先し、キック側にまわる場合もある。後半開始時に行われるキックオフにおいては、前半に選択権を行使しなかったチームが選択を行う(この結果、前半レシーブを選択したチームは、後半キックとなる場合がほとんどである)。 レディー・フォー・プレーレディー・フォー・プレーとは、審判がプレーの開始を宣言することである。レディー・フォー・プレーが宣言されるまでは、各チームはプレーを行ってはいけない。また、レディー・フォー・プレーが宣言された後は、各チームは25秒以内にプレーを開始しなければならない。 スクリメージ・プレー(ボールの前進)スクリメージ・プレーとは、攻撃側がボールを前進させるために行う個々のプレーを言う。単にプレーとも言う。ボールが設置され、攻撃側と守備側を隔てるスクリメージラインが存在する状態からのプレーを指す。 プレーは、攻撃側のスナップ(地面に置かれたボールを後方の味方選手に渡すこと)により開始する。スナップ時には、両チームの選手はスクリメージラインより自陣側に位置しなければならない。よって、スクリメージラインを挟んだ両側にそれぞれ攻撃側守備側の選手が向い合って並ぶ。攻撃側の選手は、スナップ時には静止(少なくとも1秒間)していなければならない(例外:マン・イン・モーション)。 ボールを前進させる方法は、主にランプレーとパスプレーに大別される。それぞれのプレーにおいて、選手は予め決められた動き方(アサイメント)に従って動く。通常、どのチームでも複数のプレーにおけるアサインメントを用意しており、状況に応じて使い分ける。このアサイメントをまとめた戦術書をプレーブックと言う。 スクリメージ・プレーの前(フリーキックの場合も同様)には、両チームの選手は一端集合し、次のプレーの戦術確認を行う。これをハドルと呼ぶ。ハドルでは、チームリーダー(攻撃側では主にクォーターバック、守備側ではそれぞれ決められたチームリーダー)が状況を判断し、他の選手にアサイメントを伝達する。監督またはコーチがアサイメントを伝達することもある。監督またはコーチが伝達する場合は、交代選手を伝令とする、チームエリアからサインを送るなどの方法がある。NFLでは、無線通信によりリーダーに直接伝達する方法がとられる場合がある。 ダウンとシリーズ攻撃側のチームには、当初4回のプレーを行う権利(ダウン)が与えられる。この4回のダウンを順にファースト(1st)ダウン、セカンド(2nd)ダウン、サード(3rd)ダウン、フォース(4th)ダウンという。4回以内のダウンで(フォースダウン終了までに)10ヤード以上前進すると、次のダウンは再びファーストダウンとなり、あらためて4回の攻撃権が与えられる。これを「ファーストダウンの獲得」あるいは「ファーストダウンの更新」という。 逆に、10ヤード前進できなければ攻守交替となり、プレー終了地点で相手チームがファーストダウンを獲得する。つまり、4回の攻撃権に対して、10ヤード前進のノルマが課せられており、この10ヤードの前進が達成できている限り連続して攻撃を行うことができる。なお、相手ゴールライン(エンドゾーン)までの距離が10ヤード未満となった場合には、4回以内のプレーでエンドゾーンまで前進する、つまりタッチダウンすることが必要となる。 攻撃側のチームは、攻撃権を維持したままプレーを繰り返し、最終的にはタッチダウンなどによる得点を目指す。具体的には、各プレーにおいて少しずつでも前進することが目標となる。前進することでファーストダウンの更新(攻撃権の維持)が可能になり、前進を繰り返していくと、最終的には相手陣のエンドゾーンに到達して得点(タッチダウン)できることになる。もちろん、一度のプレーでタッチダウンを行うことも可能である。 逆に、守備側のチームは、相手の前進を食いとどめ、あるいはボールを奪って、攻守交替に持ち込むことを狙う。 なお、攻撃側には4回の攻撃権があるが、3回以内に10ヤード進むことができなかった場合、つまりフォースダウンになった場合には、ファーストダウンの獲得をあきらめてフィールドゴールまたはパントを行うことが多い。 攻撃開始から攻守交代(あるいは得点)までの一連のプレーをシリーズまたはドライブという。両チームが交互にシリーズを繰り返すのが、一般的な試合進行である。 ランプレーランプレーとは、手渡し(ハンドオフ)または後方へボールを投げること(バックパス)でボールを受けた選手(ランナー)が、走って前進を狙うプレーである。比較的短い距離を確実に前進するために行われることが多い。 バックパスはルール上の制約がなく、何度でもどの地点からでも可能である。しかし、ファンブル(後述)のリスクがあるので、1プレー中に何度も繰り返されることはほとんどない。 通常、ランナーとなるのはランニングバックである。また、パスプレーを企図したクォーターバックが、パスの受け手を探したものの適切な受け手が見つからずに、自らボールを持ったままランプレーによる前進を図ることもある(このプレーは特にスクランブルと呼ばれる)。 多くの場合、ランナーはプレーによって予め決まったコースを走り、ランナー以外の攻撃側の選手は、ランナーの走路を確保する、あるいは守備の選手がランナーをタックルするのを防ぐため、守備の選手をブロックする。ただし、ランナーが自分の判断で走るコースを任意に変えることもある。 ランプレーによる獲得距離は、プレーが終了した時点で、スクリメージラインからボールが最も前進した地点までの距離で現される。たとえ、守備の選手によって押し戻されても、押し戻された距離は考慮されず、ボールが最も前進した位置から次のプレーが開始される。これにより、ランプレーによるタッチダウンは、ボールがゴールラインを通過した瞬間に成立する。 ただし、スクリメージラインの手前で前進が止まった場合は、マイナスの獲得距離として表される。 また、ランプレー中にボールを落とすことをファンブルという。この場合、地面に落ちたボールは、守備側も含めて全ての選手に確保(リカバー)し、前進させる権利がある。攻撃側がリカバーした場合、攻撃シリーズは継続するが、守備側がリカバーした場合は攻守交替(ターンオーバー)となる。 パスプレー
パスのターゲットを探すクォーターバック
パスプレーとは、前方へのパスを使ったプレーである。アメリカンフットボールで「パス」と言った場合は、前方へのパスを意味することがほとんどである。前方へのパスは、1プレーにつき1回のみ、スクリメージラインの手前から行うことが認められている。 パスプレーは、投げられたボールを攻撃側の選手がノーバウンドで捕球したときに成立する。ボールの位置がフィールド外であっても、フィールド内に片足(NFLでは両足)が着地すればパス成功となる。これにより、相手のエンドゾーン内でパスを捕球すれば、その時点でタッチダウンとなる。 捕球した選手は、ボールを持ったままさらに前進することができる(ラン・アフター・キャッチ)。パスプレーによる獲得距離は、プレーが終了した時点で、スクリメージラインからパスを捕球した地点(足が最初に着いた地点)までの距離と、捕球後に前進して獲得した距離の合計で表される。 投げられたボールが、誰にも捕球されずに地面に落下した場合は、接地した時点でプレーが終了し(パスインコンプリート、パス不成功)、同時に計時も止まる。たとえ空中で選手がボールに触れたとしても、捕球されずに接地した場合はパス不成功となる。またパス不成功の時は、攻撃側は全く前進できずに、元のスクリメージラインから次のダウンとなる。 ランプレーと比べると、成功する確率は低いが、長距離の前進が期待できる。このため、パスプレーは比較的ハイリスク・ハイリターンの攻撃ということができる。
パスを捕球するワイドレシーバー
通常、パスを投げるのはクォーターバック、パスを受けるのはワイドレシーバーである。スナップ後、ワイドレシーバーはプレーによって定められたコースを走る。クォーターバックは、守備の状況を判断して、捕球可能と判断したワイドレシーバーにパスを投げる。 パスが成功するには、適切なスピード・距離・タイミングでパスが投げられることと、ワイドレシーバーの捕球技術が必要である。その他の選手は、クォーターバックがタックルを受けないように、またパスを投げるまでに必要な時間を稼ぐために、クォーターバックの周りを取り囲むようにして、守備選手の侵入を防ぐ。特に、オフェンスラインの選手は、パスを受けることができず、またパスが投げられるまではスクリメージラインを超えることが出来ないので、パスプレーではクォーターバックを守ることに専念する。 また、パスされたボールを守備側の選手が捕球することをインターセプトと言う。インターセプトが発生した瞬間に攻守交替(ターンオーバー)となり、捕球した選手は、ボールデッドとなるまで、相手方のエンドゾーンに向けて前進(リターン)することができる。ボールデッド後、リターンしたチームがファーストダウンを獲得する。リターンした選手がボールデッドの前に直接敵陣のエンドゾーンに入った場合には、そのままタッチダウンが認められる。これを、特にリターン・タッチダウンという。パスプレーでは、ボールが空中にある間、常にインターセプトのリスクが伴う。 プレーの終了(ボールデッド)上記と一部重複するが、プレーの終了(ボールデッド)となる場合を以下に示す。
タッチバックタッチバックとは、パス不成功と得点の場合を除いて、ボールが守備側のゴールラインを超えてボールデッドとなることである。タッチバックが成立すると、次のプレーは守備側の20ヤードラインから、守備側がファーストダウンを獲得する。タッチバックが成立するケースは、以下のとおりである。
パントパントとは、攻撃側がボールを地面に接地させることなくボールを蹴ることである。 パントを行うと攻撃権を失うが、代わりに大きくボールを前進させることができる。このため、フォースダウンで、ゴールまでの距離が比較的遠い場合には、相手の攻撃をできるだけ不利な位置(自陣エンドゾーンから離れたところ)から開始させる意図から、通常はパントを行う。 パントを行う場合、スクリメージライン上にロングスナッパーと呼ばれる選手、後方約14ヤードにパンターと呼ばれる選手が配置される。その他の選手は、通常、パンターを守るために選手1名をパンターの数ヤード前に配置するほかは、ロングスナッパーを挟んでスクリメージライン上に1列にセットする。 ロングスナッパーがパンターに対しボールをスナップすることによりプレーが開始される。パンターはボールを受け取ると、軽く助走しながら自分の前方にボールを落とし、そのボールが地面に接地する前に、高く蹴り上げる。 蹴られたボールをレシーブ側の選手が捕球した場合、捕球した選手はボールを持って前進(リターン)することができる。レシーブ側は、リターン終了地点でファーストダウンを獲得する。当然、リターンの結果相手側のエンドゾーンに達すれば、タッチダウンとなる(パントリターン・タッチダウン)。 パントのボールにレシーブ側が誰も触れない場合は、ボールが止まった地点またはアウト・オブ・バウンズ地点で、パントしたチームの選手がボールに触れた場合は、(触れた地点が、ボールが止まった地点よりもパントチーム寄りであれば、)触れた地点で、レシーブ側がファーストダウンを獲得する。タッチバックの場合は、レシーブ側の20ヤード地点でレシーブ側がファーストダウンを獲得する。 パンター以外のパント側の選手は、パントに必要な時間を確保するため、レシーブ側の選手の侵入をブロックし、パントの後はレシーブの選手のタックルに向かう。リターンの距離を少しでも短く抑えるためには、出来るだけ早くレシーブの選手に近づく必要があるため、パントは遠くまで飛ばすだけでなく、できるだけ高く蹴って滞空時間(ハングタイム)を伸ばす必要がある。 レシーブ側の選手は、パンターに突進してプレッシャーをかけるか、パント側の選手がレシーブの選手をタックルするのを阻止する。 4thダウン・ギャンブル4thダウン・ギャンブルとは、4thダウンでパントあるいはフィールドゴールをせずに、ランプレーまたはパスプレーによりファーストダウンの獲得を試みることである。4thダウン・コンバージョンと呼ぶこともある。一か八かの賭けなので「ギャンブル」と付く。 4thダウン・ギャンブルの結果、ファーストダウンが獲得できれば攻撃を継続できる。しかし、4thダウン・ギャンブルに失敗し、ファーストダウンを獲得できなかった場合は、ボールデッドの地点で相手側がファーストダウンを獲得するためリスクが高い。 4thダウン・ギャンブルを選択するのは、主にファーストダウンまでの獲得距離が残り少なく、フィールドゴールの得点またはパントでは満足できない場合である。通常は、少なくとも敵陣に入ってから4thダウン・ギャンブルを選択する。ただし、残り時間が少ない状態でリードを許している場合は、たとえ自陣であっても、4thダウン・ギャンブルを選択することもある。 ダウン&ディスタンスとチェーン攻撃側の状況は、ダウン数とファーストダウン獲得に必要な前進距離(ダウン&ディスタンス)で表される。TV放送やスタジアム内のスコアボードなどでも表示される。 ファーストダウンを新たに獲得した場合には「1st&10」(ファーストダウン・テン)と表示される。これは「現在ファーストダウンで、次のファーストダウン獲得までの残り距離は10ヤード」であることを意味する。なお、ここでいう残り距離は実測ではなく目分量である。 同様に、「2nd&7」(セカンドダウン・セブン)「3rd&2」(サードダウン・ツー)と表示された場合は、それぞれ「セカンドダウンで残り7ヤード」「サードダウンで残り2ヤード」という意味である。 直前のプレーで後退してしまったような場合には、「2nd&15」など、10ヤードを超える残り距離が示されることもある。このように10ヤードを超える距離が残っている場合には大まかに「2nd&Long」という表現を用いることがある。 残り距離が1ヤードに満たない場合には、「2nd&Inches」ないしは「2nd&Short」などと表されることもある。 なお、エンドゾーンまでの残り距離が10ヤードに満たなくなった場合には「1st&Goal」などと表されることが多い。 なお、フィールド上ではチェーンによってダウン&ディスタンスが表される。チェーンとは、フィールド上でプレー開始の地点とファーストダウン獲得の地点を示す目印であり、長さ10ヤードのチェーンの両端に棒をつけた形のもので、ビジター側のサイドライン際のアウト・オブ・バウンズに設置する。先端にダウン数を示す数字の板をつけた棒である、インジケーター(ダウンボックス)とセットで使う。 いずれかのチームがファーストダウンを新たに獲得したときに、プレー開始地点のライン上(サイドライン際)にインジケーターを設置する。インジケーターの地点にチェーンの一端を設置し、もう一端はチェーンをぴんと張った状態で、攻撃方向10ヤード先に設置する。この一端が、次のファーストダウン獲得地点の目印となる。 インジケーターは、プレー終了の都度、プレー終了地点(次のプレーの開始地点)のライン上に設置される。ファーストダウンが新たに獲得されたときには、インジケーターとチェーンをあらためて設置しなおす。 ファーストダウンを獲得したかどうかが微妙な時には、審判の判断、あるいはチームからの要求により、メジャーメントを行う。メジャーメントとは、チェーンをサイドラインからボールのある地点まで移動し、実測によりファーストダウンを獲得したかどうか判定することである。ただし、プレーの終了地点、すなわちそもそものボールを設置する地点は、あくまで審判の目測による。 攻守交替上記の内容と一部重複するが、以下に攻守交替となるケースをまとめて示す。
なお、タッチダウン後のポイントアフタータッチダウンのプレーが終了したとき、またはフィールドゴールにより得点したときは、次のプレーは得点したチームのフリーキックとなるため、事実上、攻守交替となる。 得点の方法タッチダウン
エンドゾーンへ突進するランニングバック
得点は6点。自軍の選手がボールを持って敵陣エンドゾーンに入る、または、敵陣エンドゾーン内で味方からのパスを捕球する。とにかく敵陣エンドゾーンまでボールを運べば成立する。さらに、ポイントアフタータッチダウン(後述のトライに同じ)の権利が与えられる。 なお、ラグビーと異なり、ボールを接地させる必要はない。ルール上、ゴールラインそのもの及びその上空はエンドゾーンであり、プレイ中に、攻撃側選手によって確保されているボールがエンドゾーンに一瞬でも接触すればタッチダウンが認められることになる。そのため、選手の体のほとんどはエンドゾーンの外にあるが、ボールを持った手だけがエンドゾーンに入ってタッチダウンというシーンも見受けられる。 具体的には、スクリメージがゴールラインのごく近くのために両チームの選手が密集した状態で、攻撃側の選手がボールをエンドゾーンに「ねじ込む」といったプレイや、サイドライン際に追い詰められた選手がサイドラインの外に逃げながら、サイドラインを出る直前にボールを持った手だけはエンドゾーンに入れてタッチダウンといったプレイが見られる。ただし、攻撃側選手がエンドゾーン内でジャンプしてパスを捕球した後、エンドゾーン内に着地することなくアウト・オブ・バウンズに出てしまった場合には、パスインコンプリートとなってしまう。 フィールドゴール得点は3点。スナップされたボールを地面に置いてキックし、敵陣のゴールポストの間、かつクロスバーの上方に通す。また滅多に見られないが、スナップされたボールを捕球後、前方に落として地面に接触させた後に蹴ってポストを通す(ドロップキック)ことも認められる。これを特にドロップゴールと呼ぶ場合もある(地面に接触させずに蹴るのはパントであり、パントの結果ポストを通しても得点は認められない)。 フィールドゴールを狙うプレーにおいては、スクリメージライン上にロングスナッパーと呼ばれる選手、後方約7ヤードにホルダーと呼ばれる選手、さらに後方にキッカーと呼ばれる選手がセットする。その他の攻撃選手は、ロングスナッパーを挟んでスクリメージライン上に一列にセットする。 ロングスナッパーがホルダーに対しボールをスナップすることによりプレーが開始される。ホルダーは受け取ったボールを素早く、蹴りやすいように地面に立てる。スナップと同時に助走を始めたキッカーがタイミングよくこのボールを蹴る。蹴ったボールが敵陣のゴールポストを通過すれば成功である。なお、他の選手はスクリメージライン付近でブロックを行い、ホルダーやキッカーを保護するとともに、キックまでの時間稼ぎを行う。相手チームの選手はキッカーに対しプレッシャーをかけるが、蹴ったボールに直接触れることでフィールドゴールを失敗させる(フィールドゴール・ブロック)というケースもある。 記録上のフィールドゴールの距離は、蹴った地点からゴールポストまでの距離で表される。すなわち、ゴールラインからスクリメージラインまでの距離に、スクリメージラインからキック地点までの7ヤードおよびゴールラインからゴールポストまでの10ヤード、合計17ヤードを加算したものとなる。 なお、フィールドゴールに失敗したときは、NFLでは蹴った地点から、その他ではスクリメージライン(スクリメージラインが敵陣20ヤード以内の場合は、敵陣20ヤードライン)から相手側の攻撃となる。 プロの場合、40ヤード以内のフィールドゴールはほとんど成功するが、50ヤードを超えるような長距離の場合はプロでもなかなか成功しない。 トライタッチダウン後、敵陣ゴール前(NFLでは2ヤード、その他では3ヤード)の地点から、1回のみの攻撃権が与えられる。ポイント・アフター・タッチダウン(Point After Touchdown)、トライ・フォー・ポイントまたはエクストラ・ポイントとも呼ばれることもある(ルール上の用語は トライ)。ポイント・アフター・タッチダウンを略して、PAT と表記されることも多い。 フィールドゴールおよびセイフティは1点、タッチダウン(ツーポイントコンバージョン)なら2点が与えられる。 一般に、ツーポイントコンバージョンに比べ、キックの方が成功の確率が高いため、通常はキックによる1点を狙うことが多い。ツーポイントコンバージョンは比較的リスクが高いプレーであるが、試合終盤にリードを許している場合など、リスクをとってももう1点追加したいケースに選択される。 なお、トライ中のプレーで、インターセプトまたは守備側によるファンブルのリカバーが発生し、守備側がリターンして攻撃側のエンドゾーンに到達すると、守備側に2点が与えられる(NFLではターンオーバーとなった時点でプレーが止まり、守備側には得点が入らないようになっている)。ただし、次のフリーキックはタッチダウンしたチーム側が行う。 セイフティ2点が与えられる。自殺点ともいえる、守備側に得点が入る特殊なケース。攻撃側が、自陣ゴールラインの後方でボールデッドとなるもので、次の数通りの場合がある。
なお、セイフティ後は、得点を与えた側による自陣20ヤードからのフリーキックで試合再開となる。つまり、得点を与えた上に、さらに相手の攻撃から試合再開となってしまう。 フリーキック(キックオフ)フリーキックとは、前後半の開始時および得点後の試合再開のために行われる特殊なプレーである。キックオフとは、厳密には、前後半開始またはトライ、フィールドゴールの後のキックを言う。つまりセイフティ後のキックはキックオフではないが、セイフティというプレー結果自体がまれなため、キックオフと言えばフリーキック全てを指す場合が多い。 広義のフリーキックはキックオフを含む。狭義のフリーキックはセーフティ後に点を取られた側のチームが行うキックのことである。キックオフは、前後半開始またはトライ、フィールドゴールの後のキックであり、キック側のチームは、自陣35ヤード(NFLでは30ヤード)上の地点からボールを蹴る。キックの方法はプレースキックまたはドロップキックによるが、ドロップキックを用いることは非常に稀である。セーフティ後に行われる狭義のフリーキックは、プレースキック、ドロップキック、パントいずれかの方法により、自陣20ヤードからボールを蹴る。 キックオフにおいて、ボールをキッキングティー(キックティー)と呼ばれるプラスチック製の台に立てて置いて蹴ることが通常である。ドロップキックは、地面に一度ボールを落として蹴るため、空振りする恐れがあるのでまず実施されることはない。風が強い場合などはボールが倒れやすいため、キック側のチームの選手がホルダーとしてボールを支えても構わない。また、審判がキックチームに指示する場合がある。キッキングティーは、プレーの終了後、キック側のチームが回収(NFLでは、専門の係員が回収)する。 ボールが蹴られるまで、キック側の選手はボールの後方にいなければならない。また、レシーブ側の選手はボールの位置から10ヤード以上自陣側にいなければならない。また、5人以上の選手がボールの位置から10ヤード~15ヤードの間にいなければならない。 ボールを敵陣に向けて蹴ることにより、キックオフのプレーが開始する。その後、相手チームがキックしたボールをレシーブ側の選手が捕球(レシーブ)し、敵陣に向けボールを持って走る(キックオフ・リターン)。タックルなどによりリターンが終了した時点でキックオフのプレーが終了する。キックオフ・リターンにより相手(キックした側)のエンドゾーンに到達すれば、当然にタッチダウンが成立する(キックオフ・リターン・タッチダウン)。 キック側のチームは、ボールが10ヤード以上前進するまでは、ボールに触れてはならず、また相手選手をブロックしてもいけない。 広義のフリーキックのボールはフリーボール(どちらのチームも確保することが出来る)であり、確保したチームが攻撃権を得ることができる。しかし、前述したキック側の規制上、キック側のチームがボールを確保する可能性は低い。このため、通常はレシーブ側のチームの攻撃になる(キック側のチームがボールを確保するために行うキックを特に:オンサイドキックという)ことから、サッカーのキックオフとは大きく異なる。 キックされたボールが、ゴールラインより手前で、他の選手に触れられることなくアウト・オブ・バウンズとなった場合は、キック側の反則となる。(反則の項で詳述) 得点後のフリーキックにおいては、得点した側がキックする。ただし、セイフティによる得点の場合は、得点された側が自陣20ヤード地点からキックする。 オンサイドキックフリーキックにおいて、キック側が攻撃権の確保を狙って、わざとボールを遠くへ蹴らずゴロを転がすように蹴るプレーをオンサイドキックと言う。ボールをキック地点より10ヤード以上転がせば、キック側にもボールを確保する権利が発生する。 オンサイドキックを行う場合、キッカーはゴロ性のキックをサイドライン方向に目掛けて蹴る場合が多い。これは、不規則なバウンドによりレシーブ側が取り難くなることと、キック側がボールに到達する時間を稼ぐねらいがある。 ただし、オンサイドキックの意図はレシーブ側も察知しやすいうえ、ボールがキック側の意図する動きをするとは限らないので、成功率はかなり低い。さらに、オンサイドキックのボールをレシーブ側が確保した場合は、キック側は通常のフリーキックよりも不利な地点から守備を行わなければならないことが多い。これらのことから、オンサイドキックは非常にリスクの高いプレーであるが、キック側が負けていて、残り時間が少ないが、逆転を狙う必要がある場合などに行われる。 計時アメリカンフットボールの計時は、プレーの開始時に始まる。原則として、プレー開始後は、下記に示す場合を除き、計時は止まらない(ランニングタイム)。残り時間が無くなった時点でクォーターは終了するが、プレーが開始しているときは、そのプレーは有効となる。また、ロスタイムの概念はないが、第2または第4クォーター終了時のプレーで、守備側に反則があった場合は、攻撃側はもう1プレーを行う権利がある(超過節)。 計時の停止計時が停止する場合を、下記に示す。
また、下記に示す場合においては、計時はいったん停止するが、上記の計時の停止条件に該当しない限り、レディー・フォー・プレー後に再び計時は開始する。
チーム・タイムアウトチーム・タイムアウト(タイムアウト)とは、いずれかのチームにより申告される計時の停止である。両チームは前後半それぞれ3回ずつのタイムアウトの権利を有している。これらのタイムアウトは選手またはコーチが審判に申告し、申告が認められた時点で計時が止まる。タイムアウトの時間は90秒である。 タイムアウトの時間中、選手は水分補給や、コーチと戦術の確認を行うことが出来る。 レフリー・タイムアウトレフリー・タイムアウトとは、審判が試合の続行に支障があると判断した場合に、審判の権限で計時を停止することである。審判は試合の再開が可能と判断するまで、任意の時間、計時を停止することが出来る。 レフリー・タイムアウトが取得される主な場合を、以下に示す。
タイムマネジメントタイムマネジメントとは、時間を消費し、あるいは停止することにより、自チームに有利となるように試合の残り時間をコントロールすることである。アメリカンフットボールでは、得点差と残り時間の兼ね合いを常に意識しながら、タイムマネジメントを行う。 一般的に、リードしているチームが攻撃権を有している場合には、相手の攻撃時間を極力減らすために、計時が止まらないプレーを主に選択する。具体的には、インバウンズでプレーが終了するよう、確実なランプレーや成功率の高いパスを中心に選択する。サイドライン際ではアウト・オブ・バウンズに出ないよう、わざとボールデッドにすることもある。さらに、終了間際、攻撃側がリードしている場合などは、スナップを受けたクォーターバックがその場に膝をついて(ニーダウン)プレーを終了させる場面(イート・ザ・ボール)がある。前進しなくても、ファンブルなどの危険を冒さずに時計を進めるためのプレーである。場合によってはディレイ・オブ・ザ・ゲームの反則を行ない、罰退を受けてでも時計を進めることも行われる。 逆に、攻撃側がリードを許している場合には、攻撃の時間を確保するために、タイムアウトも消費しながら、計時を有効に止めるプレーを選択する。具体的には、サイドライン際へのランプレーやパスプレーで、成功後すぐにアウト・オブ・バウンズに出るなどである。タイムアウトを使い切っており、なおかつ計時を止めたい場合には、スナップを受けたクォーターバックが、すぐにボールを地面にたたきつける(スパイク)ことがある。スパイクした場合はパス不成功として扱われプレー終了となり、計時は止まる。もちろん1回のダウンは消費するが、ハドルや選手交代の時間を確保するために行われる。 特に、僅差でリードを許すチームが後半の終了間際に逆転を行うためには、このタイムマネジメントが不可欠であり、このことによって、試合終了まで緊張感のあるゲーム展開が楽しめることから、アメリカンフットボールの醍醐味の一つにもなっている。 ツー・ミニッツ・ウォーニングNFL特有のルール。第2及び第4クォーターの残り時間が2分になると、自動的に(プレー中の場合はプレー終了と同時に)試合時間が止められ中断させられる。これがツー・ミニッツ・ウォーニングであり、アメリカンフットボールにおける特徴的なシステムの一つである(「ツー・ミニッツ・ウォーニング」は、映画『パニック・イン・スタジアム』の原題にもなっている)。 このルールはテレビメディアの要請により採用された(クライマックスの直前にCMを入れるため)が、試合の最終局面においてタイムアウトを消費せずに作戦を立てることができるため、大変重宝されている。なお、ツー・ミニッツ・ウォーニング後、クォーターが終了するまでは、チャレンジはできない。 インスタント・リプレイインスタント・リプレイとは、ビデオ判定(オフィシャル・レビュー)により、直前のプレーの結果について、審判の判定を助けることである。インスタント・リプレイのシステムは1999年に初めて導入されたが、下記に紹介する内容は、2004年以降現在適用されているシステムである。 NFLおよびアメリカの大学特有のルールで、審判のジャッジに不服がある場合、ヘッドコーチが次のプレーが始まるまでに、赤いフラッグをフィールドに投げ入れて“異議あり!”とアピールし、インスタント・リプレイを要求することができる。これをチャレンジあるいはコーチ・チャレンジとも言う。チャレンジは、得点やターンオーバーなど、試合を決定付ける重要な場面で行われることが多い。 チャレンジの対象は、プレーの成否に関わるいくつかの事項(得点、ターンオーバー、パスの成功・不成功など)についてのみ認められており、反則の有無についてチャレンジを行うことはできない。また、NFLでは2008年から、フィールドゴールの成功・不成功に関してもチャレンジ対象となった。 チャレンジは1試合につき3回(大学の場合は2回)まで行うことができる。ただし、3回目の権利はそれ以前に2回続けてチャレンジに成功しないと与えられない。オフィシャル・レビューの結果、判定を覆すに足る明確な証拠があると認められれば、判定が覆り、チャレンジ成功となる。 しかし、明確な証拠がない限りは審判の判定が優先される。この場合はチャレンジ失敗となり、タイムアウトの権利を1回分失う。つまり、チャレンジはタイムアウトの権利を賭けて行うものなので、タイムアウトを使い切った状態では行うことはできない。 なお、チャレンジはツー・ミニッツ・ウォーニング以降、およびオーバータイム中には行うことが出来ない。 チャレンジを行うことができないツー・ミニッツ・ウォーニング以降あるいはオーバータイム中では、特設室にいるリプレイ・アシスタントと呼ばれる専門の審判がビデオ映像を検証し、インスタント・リプレイが必要かどうか主審に指示することがある。これをアシスタント・リビューという。 インスタント・リプレイは、主審がフィールド脇に設置されたリプレイ・モニターの映像を見ることによってなされ、最終判定は特設室のリプレイ・アシスタントと無線で交信しながら慎重に検討される。最終的な判定はフィールドにいる主審が下す。試合の遅延を防ぐため、判定は90秒以内に下さなければならないという時間制限も存在する。NFLでは、2007年シーズンからは60秒に短縮された他、リプレイの確認にハイビジョン映像が導入されている。 ポジション戦術攻撃側攻撃側のチームの代表的な戦術(プレー)を下記に示す(主にIフォーメーションの場合)。 ランプレイ
パスプレイ
その他
守備側守備側のチームの代表的な戦術(プレー)を下記に示す。
その他
反則反則を発見した場合、審判は直ちにおもり付きの黄色い布(イエローフラッグ)を投げる。スナップ前の反則(デッドボール・ファウル)はその時点でプレーが中断され、反則についての協議が開始される。 スナップ後の反則(ライブボール・ファウル)については、プレイヤーの各自判断によりその時点でプレーを中断しても、あるいはプレーを継続してもよい。これはアメリカンフットボールは動きの激しいスポーツのため、一旦、プレーが開始された後、急にプレーを中断させることは危険を招きかねないためである。プレーを継続した場合、ボールデッドとなった時点で、反則についての協議が開始される。 審判団が協議を開始し、審判から協議結果について、両チームおよび場内に報告される。協議の結果、反則との結論に至らなかった場合、反則はなかったものとして取り扱い、プレーはやり直しとなる。反則との結論に至った場合、反則を受けたチームが罰則を適用するかどうか選択することが出来る。他のスポーツにおけるアドバンテージと似たような措置である。 攻撃側が反則を犯した場合は、スクリメージラインを後退させ、逆に守備側が反則を犯した場合は、スクリメージラインを(攻撃側からみて)前進させる。これを罰退という。罰退距離は、反則の軽重により、5ヤード、10ヤード、15ヤードの3種類に区別される。個人による大きな反則(暴力行為(アンネセサリー・ラフネス)やアンスポーツマンライク・コンダクトなど)の場合は、罰退に加えて、その選手を退場処分とする場合もある。 反則を受けた側は、罰退を適用する(アクセプト)か無視する(ディクライン)かの選択権を持つ。アクセプトされた場合には、罰退を適用したうえで、原則として同じダウンをやり直す。ただし、守備側が反則を犯した場合、軽度の反則を除き、10ヤード前進の達成を問わず攻撃側にファーストダウンが与えられる(オートマティック・ファーストダウン)。オートマティック・ファーストダウンが適用されない場合でも、守備側の反則による罰退の結果、10ヤード前進が達成された場合はファーストダウンが更新される。なお、攻撃側の特定の反則については、罰退を適用したうえで次のダウンに移る(ロス・オブ・ダウン)。ディクラインした場合には、反則がなかったものとして、次のダウンを開始する。 罰退の適用の判断は、プレーの結果との兼ね合いで決まる。たとえば、ロングパスが成功したが、そのプレーの最中に守備側が反則を犯していた場合、パス成功による獲得距離が反則による獲得距離よりも多い場合、攻撃側はディクラインを選択することが多い。罰退よりも有利に働くからである。また、パス不成功や攻撃側の前進が少なかったプレーにおいて、攻撃側が反則を犯していた場合で、罰退を適用するとダウンをやり直すことになる場合は、守備側がダウンを進めることを優先してディクラインを選択することがある。これらも他のスポーツにおけるアドバンテージと同様の意味を持つ。 反則位置がゴールラインに近い場合(例えばゴールまで8ヤードの位置で守備側が反則を起した場合など)は、パスインターフェアランスなど特に別の規定がある場合を除き、規定のヤード数とゴールまでの距離の半分(ハーフディスタンス)の短い方の罰退が適用される。また、守備側の反則でハーフディスタンスが適用された次のダウンはファーストダウンとなる。自陣ゴールライン近くに押込まれている状況で、攻撃側が反則を犯した場合もハーフディスタンスが適用される場合がある。(例として第23回スーパーボウルにおけるジョー・モンタナの最後のドライブ前のキックオフリターンがある。) 複数の反則が競合する場合一度のプレーで複数の反則が発生することがある。この場合、反則の起こった順に判断される。その例を、次に示す。
この場合、攻撃側は1の反則をディクラインし、2の反則に対する罰則適用を求めたほうが攻撃側にとって有利となる。また、1の反則と2の反則の間に攻撃側の反則があった場合には、攻撃側は1の反則に対する罰則適用を求めれば、自身の反則については問われないことになり、攻撃側にとって有利となる。 攻撃側の主な反則
守備側の主な反則
攻撃側、守備側の双方に適用される主な反則
主なリーグ~アメリカ~
~カナダ~
~日本~ ~ヨーロッパ~
主な大会国際試合アメリカ日本
アメリカンフットボールを扱った作品映画
漫画
ゲーム
アニメサブページ関連項目
外部リンク
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