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ロシア語(ロシアご、русский язык)はインド・ヨーロッパ語族のスラヴ語派東スラヴ語群に属する言語。露語とも言う。ロシア連邦の公用語。ロシア連邦の国語表記には、キリル文字を使用する。 ロシア連邦及び旧ソ連構成国のベラルーシ、カザフスタン、キルギスで公用語となっており、ウクライナ等その他の旧ソ連諸国でも、公用語にこそなっていないもののロシア系住民を中心に広く使われている。旧ソ連以外でも移民の多いイスラエル、ドイツ、カナダ、米国で使用される。1999年のデータではイスラエルへの旧ソ連からの移民は75万人にのぼり、ロシア語のテレビ・ラジオ放送局もある。近縁の言語にウクライナ語とベラルーシ語がある。 国連の公用語の1つでもある。
文字ロシア語では以下の33個のキリル文字が用いられている。
各文字の詳細については以下を参照。
アクセント・発音
ロシア語の文法名詞名詞は、男性、中性、女性の3つの性に分かれている。ロシア語の名詞は、例外はあるものの総じて、男性名詞(単数)は子音、-й, ьで、女性名詞は-а, -я, -ь で、中性名詞は-о, -е, -мяで終わる。そのため、名詞の性の判別が比較的容易である。 複数形の場合、男性及び女性名詞は語尾の硬・軟で-ыと-иで終わり、中性名詞は-аと-яで終わる。歴史的には、他にハサミやズボンなど、二つ一組のものに用いられる組数(双数)があったが、現在は数詞との結合の中にその痕跡を残すのみである。 名詞の格は主格、生格、与格、対格、造格、前置格の6種類の他、一部に呼格(例:Боже! 神よ!)、処格、物主格?(притяжательный падеж)、分離格?(разделительный падеж)が残る。 数詞とそれに関連する名詞は特殊な変化をみせる。1 は単数主格だが、2-4 は単数生格、5以上が複数生格をとる。2-4 の単数生格は古い双数形の名残である。 人称代名詞
表中は全て主格を用いている(かっこ内はそれぞれ意味の対応する英語とドイツ語)。敬称としての「вы」は、文中でも「Вы」のように大文字で書き始めることがある。 動詞動詞は1回限りの動作や、その開始と終了がはっきりと意識できる一まとまりの動作など(日本語で言えば「食べてしまう」「読み切る」のような)を表す完了体と、進行・継続・反復する動作、動作そのものなど(「食べている」「読む」のような)を表す不完了体(未完了体とも)の2つの体(相 (言語学)参照)に分類され、多くの動詞で対になっている。一部には対になる体を持たないものや、完了体でもあり不完了体でもあるものなど、変則的な動詞も存在しているが、いずれにも属さない動詞は存在しない 時制は過去・現在・未来の3つのみと単純である。基本的に全ての動詞は過去と現在しか持たない(唯一の例外が、be動詞に当たる быть で、過去形・現在形・未来形の3形態を持つ)。現在形は主語の人称・数により、過去形は性・数によって変化する。未来形は完了体と不完了体で表現の方法が異なり、完了体の場合は、その現在形がそのまま意味上の未来を表すのに対し、不完了体では助動詞 быть の未来形との結合で表される。 コピュラ動詞(…である)быть の現在形は基本的には明示されない(例:Я чайка.「私はかもめ」)。かつては、主語の人称と数に一致した быть が用いられていたが、そのような機能は現在の быть からはほぼ完全に失われており、現在形が用いられる局面は、所有を表す場合に限定されると言っても過言ではない。その際には、所有される側が文法的な主語に当たるため быть の三人称単数形 есть (例:У меня есть сын.「私には息子がいる(私の許には息子がいる)」)を用いることになる。所有される側が複数の場合、以前はбытьの三人称複数形に当たる суть を使用していたが、現在では数に関係なく есть を使う傾向にあるようである。 さらに言うと、この есть は存在の有無のみを問題としているため、存在することが前提となっている場合は不要になる(例:У меня маленький сын.「私には小さな息子がいる」→息子の有無についてではなく、それがどのような息子なのかが問題となっている)。 なお、否定の表現(…がない…がいない)は нет を使い、存在を否定する名詞を生格にかえる(例:У меня нет сына.「私に息子はいない」)。ちなみに、この нет は、не есть の音便形であり、"Да(はい)"、"Нет(いいえ)" の "Нет" とは、別物である。 また動詞が変化したものとして形動詞(西欧語の分詞のように形容詞の働きをする)や副動詞(副詞の働き)がある。ся動詞と呼ばれる一群の動詞(語尾に再帰代名詞сяがつく)はフランス語などの再帰動詞と同様に用いられ、また相互の動作や受動表現にも用いられる。 形容詞形容詞は名詞と同様に性・数・格によって変化し、限定的用法(名詞につく場合)はそれらが一致する。叙述的用法では語尾が短い「短語尾形」も用いられる。 方言
██ 2. オロネツの訛り ██ 3. ノヴゴロド (北西)の訛り ██ 4. ヴァトカ (北東) の訛り
██ 6. モスクワ (中東) の訛り ██ 7. トヴェリ (中西) の訛り
██ 9. リャザン (南東) の訛り ██ 10. トゥーラの訛り ██ 11. スモレンスク(南西)の訛り
██ 12. ベラルーシ語の影響を受けたロシア北部の訛り ██ 13. ウクライナ語の訛り (スロボダの訛り、草原の訛り) ██ 14. ロシア語の影響を受けたウクライナ語の草原(クバーニ)の訛り 歴史ソ連崩壊後1991年末にソ連が崩壊し、ソ連を構成していた各共和国はそれぞれ独立し、それまでロシア語との併用という形を採っていたそれぞれの民族語が第一の公用語へと昇格したが、その後の言語状況に関しては様々である。 バルト三国と呼ばれるエストニア・ラトビア・リトアニアでは、ソ連からの独立以降急速に各民族語(エストニア語・ラトビア語・リトアニア語)が使用される機会が増えている。もちろんソ連崩壊後20年程しか経過しておらず、またロシア系住民が多い地域などではロシア語が今でも使われるが、ソ連時代と比べるとロシア語はそれほど使われなくなっていると言える。特にこの3カ国が2004年にEUに加盟してからは、英語やドイツ語がより広く学ばれるようになっている。ただし、ソ連時代後期にはロシア語人口がラトビア語人口を逆転するのではないかと言われたラトビアでは、独立回復後に制定した国籍法で国籍取得要件にラトビア語の習得を義務付けたため、多くのロシア系住民をロシアへ移住させる事に成功したが、国籍を与えられない残留ロシア人の権利が阻害されているとするロシア政府からの抗議を受け、さらに欧州委員会からもこの言語規定が市民の平等を定める欧州憲法に違反しているという指摘を受けた。その結果、ラトビア政府によるロシア語排除策は沈静化している。 また、ロシア影響圏からの離脱を模索するウクライナやグルジアでも、ロシア語ではなくウクライナ語やグルジア語がより広範に使われている。ウクライナでは、西部を中心に従来よりほとんどウクライナ語のみが使用されている地域がある一方で、ウクライナ語とロシア語両方が使われている地域もあり、また東部やクリミア半島ではロシア語の使用者が大勢である地域もあり、都市によっては将来的にもロシア語は当分使われ続けると推定されている。一方で、都市部を中心に伝統的にウクライナ語とロシア語の混交が起こっていたが、ソ連の崩壊以降、それまでロシア語が優勢であった地域を中心にウクライナ語にロシア語の要素が混じった「スールジク(混血)」と呼ばれる混交言語が広まりを見せている。西部を除き広範囲にロシア語は通じる。グルジアもまた長年ロシア語による支配を受けてきた国であり、ロシア語教育を廃止し、グルジア政府は日本語におけるグルジアはロシア語読みに基づいており英語読みのジョージアに変更してほしいと申し出ている(グルジア語名では「サカルトヴェロ」である)。 それ以外の地域に関しては、今でもロシア語は幅広く使われ続けていると言ってかまわないだろう。ベラルーシやカザフスタン・トルクメニスタンなどでは非ロシア人でもロシア語しか喋れない人も多く、また多民族が入り混じって生活する中央アジア諸国では、ロシア語が民族を超えた共通語として使われている。グルジアを除くカフカース地域、及びモルドバでも、現地人同士の日常会話には現地語が用いられることが増えてきたものの、ロシア語で会話する人々は少なくない。なお、ロシアとの統合に積極的なアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の独裁体制が続くベラルーシでは、隣国ウクライナとは逆にロシア語が奨励されており、ベラルーシ語に関しては弾圧的政策がとられている。このことから、元々普及の基盤が弱かったベラルーシ語の消滅が危惧されている。 ポーランドやブルガリアなど旧共産圏諸国では、共産主義体制ではロシア語が広く学習されていたが、民主化後は英語やドイツ語(歴史的にはチェコやハンガリーなど、オーストリア帝国の支配下にあった国も少なくない)など西欧の言語に押されて、ロシア語学習は下火になった。政治的にも経済的にもこれらの国が西欧(EU)諸国との関係を強化している現状では、ロシア語がかつてのような地位を取り返すのは難しいと見られている。またバルト三国や東側諸国はハンガリー動乱やプラハの春などでソ連軍による民主化弾圧などがあったためにロシアに対するイメージが悪いためか、かつて第一外国語だったロシア語を使う事も拒んでいる者も多い。 一方、ウラジーミル・プーチン政権で経済の立て直しに成功したロシアがBRICsと呼ばれる経済成長地域の一つに加わり、天然資源を核にした諸外国との経済関係が再び拡大すると共に、ロシア語の需要は再び高まりつつある。ただし、それがソ連崩壊後の落ち込みをどこまで回復できるかはまだ不透明である。 ソ連崩壊後でも使用話者が多いためか、今でも日本の多くの大学の第二外国語でロシア語が学ぶことが出来るがフランス語、ドイツ語、スペイン語に比べれば受講者数は少ない。ロシア語が隣国の言語であるにもかかわらず日本で英語・中国語・朝鮮語よりもはるかに普及率が低いのは、日本語とロシア語が全く異なった言語であるのに加え、日本の隣国とはいっても近いのはロシアの辺境で魅力ある中心部ははるかに遠く、さらに北方領土問題をはじめ日本ではロシアに対するマイナスイメージが伝統的に強く(これは東側諸国も含まれる)、ロシアに関する情報も少なく、学ぶ意欲をそそられる材料に乏しいためである。需要が少ないため、英語や中国語に比べて語学教材も恵まれておらず、改訂も進まない結果、内容がソ連時代のままである教材も少なくない。 しかし北海道の一部の高校では領土問題があるにも関わらず地理的に近いためロシア語の授業がある。また稚内や根室ではロシア語表記の看板が見られる。 ロシアでは言論統制が緩められて多様な出版の自由が拡大した反面、ソ連政府からの保護が失われた学術・芸術分野の停滞が指摘され、非採算部門での出版活動に支障を来している。 ロシア国内では急速な資本主義化や新技術の導入に伴い、今まで存在しなかった概念や用語が大量に導入された。これにロシア語の造語能力が追いつかず、特に英語を中心とした外来語がそのままロシア語に導入される例が多くなっている。
なおソ連時代には公用語は存在しなかった。すなわちロシア語はソ連の公用語ではなかった。レーニンがオーストロ・マルキシズムやカウツキーの影響のもと、1914年の論文『強制的な国家語は必要か?』において国家語の制定を批判し、スターリンも民族問題の専門家として民族語奨励政策を採用した結果、ソ連はロシア語をその崩壊にいたるまで公用語の地位につけることはついになかった。(ちなみに、オットー・バウアーから借用した「形式は民族的、内容は社会主義的な文化の建設」というスターリンのテーゼはまず言語問題にまつわる1925年の演説『母語による教育』において現れた。)それゆえ、ロシア語がソヴィエト連邦における事実上の公用語であったが、公的に国家語化したのはロシア連邦成立後である(田中克彦『「スターリン言語学」精読』、岩波書店、2000年、171頁)。しかし長年の教育の結果、ソ連解体後の現在でもロシア語は方言差が殆どない大言語としても知られ、移民で成立した国に方言に差がない代表例である。西はベラルーシ、東はアラスカ沖まで話されているとてつもなく広大な範囲である。 なお、変わった使用例としては日本の大相撲が挙げられる。ロシア南部の北オセチア共和国からは露鵬幸生・白露山佑太兄弟と若ノ鵬寿則の3人が幕内に上がり(番付は当時のもの)、他の旧ソ連地域からは黒海太(グルジア)と把瑠都凱斗(エストニア)が幕内にいる。また、上位には朝青龍明徳や白鵬翔の両横綱を筆頭とした多くのモンゴル出身力士がおり、大関の琴欧洲勝紀もブルガリア出身で、いずれも社会主義体制時代の母国でロシア語教育を受けている。従って、彼らの間では日本語と共にロシア語が共通の言語として使用されていることがしばしば報じられている。また、露鵬と白露山は2005年度と2006年度にNHK教育テレビで放送された「ロシア語会話」のリポーターとして定期出演した。 あいさつ
ロシア語由来の日本語外来語()内は、ロシア語での本来の意味である。
ロシア語から日本語に入った単語は、18世紀以降の両国間の接触によりロシアの文物が日本に紹介された物と、1917年のロシア革命とその後のソビエト体制の成立により、社会主義(共産主義)思想と共に日本に導入された物の2種類が多い。前者は日常生活の中で使用されている例があるが(イクラなど)、後者はむしろソ連・ロシア社会の特定の組織や現象を指す固有名詞としてとらえられる物が多い(コルホーズ、ペレストロイカなど)。ただし後者にもロシアから離れ、日本社会の事象を説明する時に使われる用語もある(コンビナート、ノルマなど)。в/v/は古くから入った外来語の場合「ウィ・ウ・ウェ・ウォ」と転写し、比較的新しいものは「ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォ」と転写する。ただし、"ва"に関しては現在でも「ワ」と転写する慣用が残っている(例:マリア・シャラポワ)。 日本語由来のロシア語単語
日本語からロシア語への単語移入は、日本文化の文物がロシアで紹介された時に単語が使われる場合が多く、技術用語や学術用語では例が少ない。 外部リンク関連項目
脚注
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