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M16はユージン・ストーナーによって開発されたアメリカ軍の小口径自動小銃である。商品名はAR-15であり、M16はアメリカ軍の制式名称である。
概要M16はフェアチャイルド社のアーマライト事業部が開発した口径7.62mmのAR-10を基に、アジアや南米の親米政権諸国向け援助武器として、小柄な人種でも扱いやすいよう5.56mm弾薬用に縮小したもの。その後コルト社が製造権を得てアメリカ軍に提示し、小口径アサルトライフルとして初採用された。従来のM14ライフルから小口径化することにより、兵士一人当たりの携行弾数を大幅に増加させることに成功している。 M16が採用した小口径弾、アルミ合金製の本体という開発当時としては斬新な設計思想は、その後多くの国やメーカーに影響を与え、後にM16に倣ったアサルトライフルが複数開発された。 M16はコルト社や同社の委託でGM社やH&R社が生産しアメリカ軍に納入していたが、コルト社の経営危機により製造権がアメリカ政府に移り、現在ではFN社が主に生産している。コルト社はM4を受注しているものの国内では生産しておらず、カナダ・コルト(米国コルト社に買収された旧ディマコ社)がM16A2に相当するC7と、M4カービンに相当するC8を生産し、制式採用しているカナダ軍に納入している。 作動方式M16は発射ガスを利用するガス圧作動方式(リュングマン方式)を採用している。 発射ガスの一部が銃身上部へ設けられたガスチューブによって誘導され、チューブから噴出するガスの圧力でボルトキャリアが後退し、ボルトを回転させて閉鎖を解除し、排莢、次弾装填のサイクルを繰り返す。 詳細は「ガス圧作動方式#リュングマン式」を参照 ストック内部には、作動時に後退したボルトキャリア後部を収納するために、円筒状のレシーバーエクステンションがある。このため、全長を短縮したカービンモデルにフォールディングストック(折り曲げ式銃床)が使用できず、レシーバーエクステンションを軸とした伸縮式のテレスコピックストックが用いられる。 M16系のテレスコピックストックはフォールディングストックに比べ短縮時の全長が長い欠点があるが、近年ボディーアーマーが一般兵士の装備としても普及し、ボディーアーマー装着時にはストックの長さを調整できるテレスコピックストックが使用しやすいため、再評価されている。 バリエーションM16(604)M16(AR-15 モデルNo.604)はアメリカ空軍に採用、南ベトナム軍に供与されたもの。 ガス直圧機構が原因でボルトが汚れ、回転不良や不完全閉鎖が多発したこと、ボルトチャージハンドルはボルトを開放できるものの、構造的に不完全閉鎖したボルトを閉鎖することができない。 M16A1(603)
M16A1とM203 グレネードランチャー
M16A1(AR-15A1 モデルNo.603)はアメリカ陸軍に採用されたモデルである。 密林での行軍中に、銃口に小枝が挟まることを防止するため消炎器が先割れ型(チューリップ型)から鳥かご型へ変更され、「ボルトフォワードアシスト」と呼ばれる、完全閉鎖しなかったボルトを強制的に閉鎖させるボタンが追加された。 M16は他の自動小銃のようにボルトキャリアにハンドルが付いていないため、リュングマン方式とM16の構造により多発した不完全閉鎖時に対応できないため、ボルトフォワードアシストが追加された。 詳細は「ガス圧作動方式#M16の作動不良」を参照 開発者であるストーナーは“不完全閉鎖はトラブル発生を示すものでそれを強制的に閉鎖させ発射することは銃の破壊につながり危険である”と主張したとされる。 活字ばかりのマニュアルから、当時の有名漫画家であるウィル・アイズナーが執筆したグラマーな女性の漫画入りのマニュアルに改め、兵士への注意を喚起したとされる。これは兵士がマニュアルに目を通すよう仕向けるためとも、文字を読みたがらない兵士に漫画の絵で理解させるためとも言われている。 ベトナムの高温多湿気候下での実戦投入を通じて、ボルトのクロームメッキ処理、ストック内へのメンテナンスキット収納といった改良が加えられたほか、ハンドガードはゆるい三角形の断面形のものに変更された。 M16A2(645)M16A2(AR-15A2 モデルNo.645)は、M16A1の改良型アサルトライフルである。
これらの改良を経てアメリカ合衆国軍制式ライフルとして使用が継続されているが、3バースト機構について兵士からは「命中精度にバラつきがあり、使い勝手が悪い」との意見もあるほか、M16A2やM16A4はバースト射撃の作動機構にギアラック式を採用しているため、2発発射された時点で引き金を戻した場合、次に引き金を引いたときには1発しか発射されない欠点がある。89式5.56mm小銃のように作動にラチェット式を採用している銃では、この問題は起こらない。 M16A3(901)M16A3(AR-15A3 モデルNo.901)は、M16A2の改良型アサルトライフルである。 セレクターの3点バーストをフルオートに置き換え、信頼性を向上させたもの。 M16A4(905)M16A4(AR-15A3 モデルNo.905)は、M16A2の改良型アサルトライフルである。 M16A4は、M16A2をベースにキャリングハンドル部分を着脱式とし、ピカティニー・レールを追加したものである。 M16A5M16A5は、M16A3の改良型アサルトライフルである。 M16A5はM16A4R.A.S.をベースに、ハンドガードをナイツ・アーマメント社製のM5RASを装備し、3バースト射撃がフルオートに置き換わったものである。 コルト・コマンドー詳細は「コルト・コマンドー」を参照 M4(720)M4(CAR-15A2 モデルNo.720)はM16A2のカービン型である。 特殊部隊などに実験配備されたXM177やCAR-15の前例はあるものの、朝鮮戦争時に採用されたM1カービン以来の米軍制式カービン。コンセプトはXM177の短銃身と伸縮式銃床を継承している。 M4A1(927)M4A1(CAR-15A3 モデルNo.927)は、M4カービンの改良型カービンである。 M4A1は特殊部隊用にM4の3バースト機構をフルオート機構に変更したもの。キャリングハンドルは着脱式となる。 M4E2(925)M4E2(CAR-15A3 モデルNo.925)は、M4カービンの改良型カービンである。 ハンドガードにアクセサリー装着用のピカティニーレイルを持つMWS(Moduler Weapon System)を装着したもの。MWSとしてナイツアーマメント社のRIS(Rail Interface System)が採用される。 AR-15 9ミリ サブマシンガンAR-15 9ミリ サブマシンガンは、M16A2コマンドを9mmパラベラム弾使用のサブマシンガンにしたものである。コルトの9ミリサブマシンガンや、ブッシュマスターのカーボン15 9mm カービンなどM4サイズの物である。 AR-15 ピストルAR-15 ピストルは、M16をピストルサイズにしたものである。使用弾は9mmパラベラム弾と5.56mm NATO弾が有る。代表的な物はブッシュマスターのカーボン15ピストルである。 M16 LSW(741)M16 LSW(741)は、M16A2を基に開発されたLSW(Light Support Weapon、軽支援火器、分隊支援火器)である。ハンドガードがグリップ付の角が丸い四角形になっている。 SPR Mk12SPR Mk12は、M16A4、M4A1を狙撃銃として改良した特殊目的ライフル(Special Purpose Rifle)である。 SPR Mk12はアメリカ陸軍特殊部隊第5SFGとUSAMU(United States Army Marksman Unit=アメリカ陸軍射手育成部隊)が特殊部隊用の狙撃と精密射撃任務用ライフルとして共同開発したもので、量産型にMod0とMod1がある。精密射撃を実現するため、専用弾薬として弾頭重量を4g(62グレイン)のM855から5g(77グレイン)に増した新設計のMk 262 Mod0/1を使用し、ライフリングのツイストも適合するように1/7"へと変更されている。銃身は高精度と軽量化を実現したもので、ハンドガードとともに、基部以外は他のパーツに接触しないフローティング式になっている。銃口には専用のサプレッサーの取り付けが可能である。標準のスコープはリューポルド社のTS-30A2で、マウントレールにも精度が高く耐久性もあるSWANスリーブを採用している。 SAMRSAMRはM16A4を狙撃銃として改良した分隊上級射手ライフル(Squad Advanced Marksman Rifle)である。 SAMRはアメリカ海兵隊に配備されているM14をベースとしたDMR(Designated Marksman Rifle)の後継として開発された。競技銃用ステンレス銃身のクリーガーSSを採用し、ハンドガードはナイツ社RASでフローティング式なっている。標準のスコープはリューポルド社のTS-30A2である。SPR Mk12とのコンセプトや仕様の共通点も多い。 SR-25SR-25とは、ナイツ・アーマメントがAR-10(AR-15、M16)をベースにして開発した7.62mm NATO弾(.308 ウィンチェスター弾)を使用する狙撃銃である。 詳細は「SR-25」を参照 AR-15AR-15はM16の民間用モデルの商品名。制式採用前はAR-15(モデル No.602)としてアメリカ政府に納入された。現在はセミオートのみの民間版にこの名称が使用されている。 民間版のAR-15はM16からフルオート機構を削除した以外は基本的に構造は同じで、外観はM16/M4の各バリエーションに準じたものがある。また標的射撃用にはフローティングマウント化したヘビーバレルやハンドガードを採用し、スコープ装着のためフロントサイトを省略したモデルもある。フルオート用トリガーブロックを組み込む違法改造防止のため、レシーバ内の部品構成や配置はM16と意図的に変えている。 ブッシュマスター社やオリンピック・アームズ社などは銃身を極端に短くし、ストックを取り去ったピストルモデルを製品化している。これらは特殊部隊用にサブマシンガン化したM16に倣ったものだが、精度に関しては当然ライフルサイズに比べて劣る上、場合によっては動作に悪影響を与えるデザインを行っている場合もある。 コルト社はアサルトライフル販売規制による市場イメージを考慮し、この製品名をコルトスポーター、コルトマッチターゲット等に変更した。コルト社以外にもアーマライト社 (M15) やナイツアーマメント社 (SR-15) 、ブッシュマスター社 (XM-15) など数社が類似商品を販売しているが、一部についてコルト社はライセンス侵害を訴えている。 アメリカ軍次期制式ライフルM16はレールシステムを採用するなどの改良により、近年主流のアサルトライフルに戦闘用各種アクセサリーを装着するという流れに対応している。しかしこの後付け的機能追加は、銃としてのバランスや操作性を欠くなど運用面での問題点も少なくないため、照準装置などの搭載を設計段階から組み込んだ次期制式ライフルの開発が進んでいる。 M16の後継ライフルは、当初銃本体に連装式グレネードランチャーや電子スコープのモジュールを一体化したOICW(Objective Individual Combat Weapon)と呼ばれる次世代型ライフルの採用が予定されており、H&K社がXM29を開発していた。この銃の電子スコープには暗視装置や火器管制装置も組み込まれ、グレネードの電子信管は火器管制装置により距離の調停ができる最新のテクノロジーを導入した銃であった。しかしながら戦場での電子機器の耐久性に対する不安や重く大きすぎる本体、高いコストなどが問題になり次期採用は見送られた。 このためH&K社はXM29のライフルモジュールのスピンオフであるXM8を提案した。コンセプトも形状もドイツ軍が制式採用した同社のG36(HK50)に似たこの銃は採用が内定していたものの、海兵隊や特殊部隊の強い反発により次期制式ライフルの新要求仕様が策定されたため、採用は白紙に戻された。 新要求仕様に基づき現在M16を製造するFN社は、既にアメリカ軍特殊部隊向けの導入が決定している、モジュールの組替えにより歩兵用アサルトライフルにも分隊支援火器にもなり、5.56mmと7.62mmの口径バリエーションを備えるSCAR-L/H(Special Forces Combat Assault Rifle-Light/Heavy respectively)を提案している。 一方H&K社も、SCAR同様の口径バリエーションを備え一部特殊部隊向けに納入実績のあるHK416/HK417で対抗する動きがある。 次期制式ライフルが5.56mmを踏襲するのか新弾薬の6.8mm×43SPCへ移行するのかも未決定であるため、これらの候補は6.8mmモデルも前提に設計されている(2005年10月現在)。 操作安全装置を兼ねたセレクターがSAFE位置にあることを確認し、弾倉を差し込んだ後、リア・サイト下にあるチャージングハンドルに指をかけて引き、放すとチャンバーに初弾が装填される。チャージングハンドルにはロックがあり指をかけた状態でないと引けないようになっている。弾倉が空の時チャージングハンドルを引くとボルトキャッチによりボルトが後退したままの位置で保持される。チャージングハンドルはボルトの位置に関係なく放せば定位置に戻る。 この状態では弾倉交換後、銃の左側面にあるボルトキャッチを押すことで初弾が装填される。 右手でグリップを握った場合親指の位置にセレクターレバーがある。SAFE(安全)、SEMI(半自動・単発)、AUTO(自動・連発:3連射)と切り替えることができる。 右側面にある廃莢口のダストカバーは発射時にボルトの動作により自動的に開くので、通常は閉めておいても良い。酷使することによりボルトが不完全閉鎖された場合は右側面のボルト・フォアード・アシスト・ノブを押すことでボルトを前に押し込むことができる。全弾発射されるとボルトが後退位置で保持されるので、右側面のトリガー・ガード前にあるマガジン・キャッチ・ボタンを押しながらマガジンを抜く。 サイトの高さ調整はフロントサイトで行う。弾丸の先のとがった部分でスプリングピンを押し下げながらフロントサイトを回転させることにより高さ調整ができる。左右の調整はリアサイトで行い、同様に弾丸のとがった先でスプリングピンを押しながらまわすことで調整する。 リアサイトはM16ではL字型の孔照門タイプで、近距離(0~300m)用と遠距離(300~500m:Lの刻印が孔の下にある)をどちらかに倒すことで距離を選ぶことができる。M16A2では近距離(0~200m)用と遠距離(200~800m:Lの刻印が孔の下にある)をどちらかに倒すことで距離を選ぶことができ、微調整はサイト下のレンジ・アジャスティング・ドラム(調整用ダイアル)で行うこともできる。 冬季作戦のように厚いグローブを着用しているときは、トリガー・ガードの前側にあるロックボタンのスプリングピンを弾丸の先で押すとトリガー・ガードが下に折りたため、トリガー・ガードが無い状態で操作できる。 ストックの肩当部分にある蓋は中にクリーニングキットが入っており、クリーニングロッドやチャンバーブラシが内蔵されている。通常分解掃除は弾丸の先を使ってテイク・ダウン・ピンを銃の左側面から押すことで中折れ式にボルトが開放されるので、ボルトを抜き出した後チャンバー、ボルトの掃除をする。 日本での所持
日本仕様のAR-15 H-BAR(ヘビーバレル) / 標的射撃用モデル。警察庁通達によりサムホールストックを装着している。
民間人の銃砲所持に対して規制の多い日本だが、M16の民間版であるAR-15(販売価格30万円前後)の所持は可能。狩猟用途でライフル所持許可を取得するには銃砲所持許可を取得し猟銃(散弾銃や競技用ライフル銃等)を10年間継続所持した実績および狩猟免許を取得する必要がある。 更に狩猟用ライフル銃の口径は6mm以上でなければならないため、コンバージョンキット(改修部品)で6mm×45や7.62mm×39へ変更する必要がある。またピストルグリップ(独立握把)は握り部分に穴が空いたサムホール型ストックへ、弾倉は装弾数5発に制限するなどの改修も要する。 銃規制強化やアメリカ同時多発テロ事件による銃器輸出入規制に呼応し、新規許可は難しくなっている。 M16の派生型など
M16系統の銃を製造する会社詳細は「AR-15を製造する会社の一覧」を参照 M16の噂アメリカには「玩具メーカーであるマテル社製のM16が存在する」という噂がある。 バービー人形やモデルガンで有名なマテル社が、ベトナム戦争時にコルト社の委託でM16を生産していた、またはグリップやストックなどのプラスチック部品を生産していたというもので事実無根だが、配備当時は珍しかったプラスチックとアルミを多用し、それまでの小銃より小振りで安っぽい印象のあったM16を兵士が「マテルの玩具」 (Mattel toy) と揶揄した事や、コルト社が自動車メーカーのGM社などに生産委託していたことが噂の発端とされる。実際マテル社はM16のトイガンを販売しており、映画「グリーン・ベレー」では、これを木に叩きつけて折ってしまうシーンがある。 登場作品詳細は「M16が登場する作品の一覧」を参照 関連項目
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